東京工芸大学工学研究科建築学専攻
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第2回 国際シンポジウム
「都市・建築物へのウインド・イフェクト」

開催日:2005年9月15日
会 場:Sheraton Walker Hill Hotel, Seoul, Korea
共 催:東京工芸大学COEプログラム、韓国風工学会
後 援:日本風工学会
参加者:50名

韓国風工学会,東京工芸大学・工学研究科・建築学専攻の21世紀COEプログラム「都市・建築物へのウインド・イフェクト」の共催により、第2回 国際シンポジウム(International Symposium on 'Wind Effects on Buildings and Urban Environment', ISWE2)が開催された。
開会に際して田村幸雄 教授(東京工芸大学, 21世紀COE拠点リーダー)より参加者に歓迎の挨拶がなされ,今回の開催は韓国風工学会との共催により行われる事の説明および韓国風工学会会長Young-Duk Kim教授に謝意が示された。


挨拶する田村幸雄拠点リーダー

最初の発表は,Ahmad K. Abdelrazaq(Samsung, Korea)によるNew paradigm in tall building planning and designと題する発表で,近年のアジア地域での超高層建築物の建設状況と,それぞれの構造に関する特徴および風荷重との関連に関する発表がなされた。様々な構造系式や,空力特性を考慮した設計,制振装置の例が示された。制振装置が占めるスペースの問題等について質問があがったが,会場から日本では同調質量系よりも,粘弾性体や極低降伏点鋼を用いたものが用いられこれらは大きな空間を必要としない等のコメントがあった。引続き,J.C.K. Cheung教授(Monash University, Australia)によりModel scale effect of topography on wind tunnel testing for buildingsと題して,風洞実験による地形の影響評価に関する発表がなされた。実務的にも非常に重要な問題であり,検証も困難な問題であるので,関心が高く,多くの質疑がなされた。地形の影響を数値計算で評価しようとする動向も注目に値すると言う指摘や,地形だけでなく,800m離れた高層建築物が後流の低層建築物に影響を及ぼす可能性等が言及された。


 
     Ahmad K. Abdelrazaq             J.C.K. Cheung教授

Chris Letchford教授(Texas Tech University, US)は,Thunderstorm effects on buildingsと題する発表を行った。局所的な気象擾乱であるダウンバーストの影響に関する室内実験の報告である。Pulsed Jetによりダウンバーストを運動学的に模擬するものである。様々な形態のダウンバーストの可能性が指摘されたが,ターゲットとする現象に関する実測記録が極めて少ないため現状では検証が困難であり,今後のデータの蓄積が期待された。Tim Reinhold(Institute for Business and Home Safety, US)は,Wind loads on low-rise buildings: Is one set of pressure coefficients sufficient for all types of terrain exposures? と題し,様々な被害事例を挙げながら,耐風設計法に対する問題提起を行った。

 
      Chris Letchford教授                Tim Reinhold

昼食をはさみ,午後のセッションは,Kangpyo Cho教授(Wonkwang University)の司会ですすめられた。まず,Young-Duk Kim教授(Kwandong University, Korea)により,An experimental study on the noise of thin columns induced by windと題して発表がなされた。様々な形状の柱状物体からの音圧レベルを計測し,ストロハル数,断面の周長と関係で整理することを提案するものである。Masaru Matsumoto教授 (Kyoto University, Japan)は,Karman vortex shedding and its effects on bluff body aerodynamicsと題する発表を行い,主としてギャロッピングの空力不安定振動にカルマン渦が影響を及ぼすことを指摘し,カルマン渦を抑制することによりギャロッピングが発現することを示した。Elizabeth English教授により (Louisiana State University, US)により,Current research on the trajectories of wind-borne debris: simulation, verification and applicationと題する発表がなされ,強風災害に際しての重要な被害要因となる飛来物に関するシミュレーション結果が示された。

 
       Young-Duk Kim教授           Masaru Matsumoto教授

 

      Elizabeth English教授              会場の様子

以上,7人の国際的に活躍する風工学研究者からの発表と質疑は非常に実り多いものとなった。なお,本シンポジウムは9月11日から14日に実施された第6Asia-Pacific Association for Wind Engineering(APCWE-VI)に併設されて実施された。